腸と脳の連携に関する記事《朝日新聞2021年3月29日》

8月 2, 2022

腸と脳が関係しているという話は以前からよく耳にしていましたが、免疫細胞が腸と脳の連携に関わっているという記事が掲載されていました。

肝臓の役割についても言及され興味深いです。

以下気になるところ引用しておきます。

脳と臓器は迷走神経でつながっている。腸は脳からの司令を受け取る受動的な存在と考えられてきたが、実際には、腸からも情報を伝え、脳が応答する。この双方向の関係は「脳腸相関」と呼ばれ、様々な研究が進んでいる。

 脳腸相関のメカニズムは単純ではなさそうだ。腸に赤みやはれといった病変がある炎症性腸疾患(IBD)を研究する慶応大の金井隆典教授(消化器内科)らのチームは昨年6月、腸に多く存在する特殊な免疫細胞「制御性T細胞」が脳腸相関の鍵となっていることを明らかにする研究成果を、英科学誌ネイチャーに発表した。

 栄養を吸収する腸は、食べ物という「異物」や無数の腸内細菌に常にさらされている。免疫によってすべてを攻撃してしまう暴走状態では、重い炎症が起きて健康を保てない。過剰な反応を抑える役割を果たしているのが制御性T細胞だ。

 チームは、腸の神経のそばに、異物を認識する細胞が多く集まっていることを発見。腸炎を起こしているマウスの実験で、この神経がつながる迷走神経を切断したところ、制御性T細胞が減少し、腸炎も悪化した。切断後に、神経の情報を伝える物質を外から加えると、制御性T細胞の数は元に戻った。

 異物を認識する腸内の細胞から、迷走神経を通じて脳に情報が伝わり、腸の炎症を抑える制御性T細胞の量がコントロールされている関係が明らかになった。腸内を除菌すると切断実験の結果が変化することから、腸内細菌も影響を与えていることがわかった。

 チームはさらに、肝臓につながる神経を切断しても同様に制御性T細胞が減ることを確かめた。金井教授は「表面積がテニスコートほどともいわれる腸の情報をいっぺんに脳に直接伝えるのは困難であり、肝臓でいったん集約する役割があるのではないか」とみている。

朝日新聞より

朝日新聞記事はこちらから↓(有料ですが、図解は登録なしにみれました)

科学の扉 伝え合う、頭とおなか 「連絡」切ると腸炎悪化/腸内細菌で心も安定?

https://www.asahi.com/articles/DA3S14850614.html?iref=pc_ss_date_article

ヤクルト シロタ株WEBサイト

金井隆典先生のインタビュー記事が掲載されていました。上記記事のことがもっと分かりやすく書かれている印象です。

https://www.yakult.co.jp/shirota/archive/interview/2009/