大腸炎改善のカギは膵臓のタンパク質か?【ニュース2021年3月18日】
少し把握が遅れましたが、調べごとをしているとたまたま見つけました。
千葉大学大学院医学研究院イノベーション医学研究領域の倉島洋介准教授(東京大学医科学研究所臨床ワクチン学分野特任准教授)と東京大学医科学研究所粘膜免疫学部門の清野宏特任教授(カリフォルニア大学サンディエゴ校教授、千葉大学大学院医学研究院特任教授)らの研究グループによる発表で、
膵臓から分泌される膜蛋白質Glycoprotein2(GP2)が、腸内細菌と結合、凝集することで、組織や他臓器へ移行・感染することを抑えているということが明らかにされました。
日経メディカルの記事はこちらから↓
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t290/202102/569206.html
千葉大研究グループニュースリリース(PDF)↓
https://www.chiba-u.ac.jp/general/publicity/press/files/2020/20210217gp2.pdf
以下、備忘録としてメモ
腸管の機能低下が多臓器不全を引き起こすメカニズムには、炎症性腸疾患などの消化管疾患や免疫能の低下、全身的な栄養不全、ストレス、細菌の異常増殖により、生きた腸内細菌が腸管内から粘膜組織や腸管のリンパ節、他の臓器へと移行・感染する「バクテリアルトランスロケーション」と呼ばれる現象が関与していると考えられています。この現象に対して生体内が持つ防御機構を調べることや、仕組みを紐解き、
それを活用することでバクテリアルトランスロケーションによって悪化する多くの疾患に対する予防法や治療法への応用が可能であると考えられてきました。しかし、バクテリアルトランスロケーションが起こる明確な原因は分かっていませんでした。Glycoprotein2(GP2):膵臓の腺房細胞で作られ、膵管を通じて十二指腸へと分泌されるタンパク質。腸管の管腔にいる腸内細菌のうち5%程度に結合している。炎症性腸疾患では抗膵臓抗体ができることが報告されており、抗体の多くがGP2を認識しており、GP2の働きを阻害している。膵臓からのGP2の分泌は、炎症を知らせるサイトカインであるTNF(腫瘍壊死因子)によって増加し、粘膜組織を守る第一線のバリアとしての役割を担っている。
国立大学法人千葉大学
国立大学法人東京大学医科学研究所ニュースリリース